大津 ゲストハウス栖碩 SEI-SEKI  

大津 ゲストハウス栖碩 SEI-SEKI  

古民家を民泊とカフェに改修したプロジェクト。新旧が混在する切り絵のような建築を目指した。

施主の父母がかつての大工と試行錯誤を重ねて作り上げた既存空間は、状態も悪くなかった。
普段なら採用しないシャンデリアも、前の住人が何かを飾っていたであろう床の間も、ここから消し去るべきではないと感じた。

そこで、既存空間に新しい空間を断片的に切り貼りしていく。
新しさの象徴として白い空間を挿入したが、既存との対比が強すぎた。そこにベニヤの仕上げを加えることで、対比を和らげていく。

暗く細長い廊下には、曲面壁を挿入した。光が柔らかく回り込み、奥の空間を静かに示唆する。
道路からのシークエンスとして、外部の「道」が内部へと引き込まれていく。

リビングの和室はそのまま残し、周囲の床レベルを下げることで天井高を確保した。
二階客室の一室には白い空間を挿入し、既存の空間が窓のように切り抜かれるようにした。

とはいえ、リノベーションには予期せぬ出来事がつきものだ。
配管ルート変更によって下がり天井が生まれ、そこにも円弧を挿入した。
木材を愛する施工者の提案で、一部のベニヤは杉板へと変わった。

意図した操作と偶発的な要素、新旧の記憶、白と赤。
それらが切り絵のように等価に混在することで、私的な空間の中に、誰もが居られるような、「道」のような質を持たせようとした。

所在地:滋賀県大津市中央4丁目2−8
主用途:民泊とカフェ(改修)
設計:nmstudio一級建築士事務所
施工:草木工務店
外構:庭園絵空事
担当:蜷川結+森創太(nmstudio) 
竣工:2025年8月
写真: Forward Stroke Inc.