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木造店舗付き共同住宅をリノベした、アート複合施設

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荒川区東尾久の木造店舗付共同住宅を改修し、アートを中心とする複合施設とした計画。既存建築の1階は間口の広さが優先され耐震性能が低く、2階は横並びに3住戸が配置された採光に恵まれない閉鎖的な空間であった。本計画ではこの課題を解消しつつ、荒川区の街づくりに取組む3組の建築家が、オーナーと協働で、地域住民を交えたワークショップを通し既存建築の新しい活用方法を探っていった。

街と一体となるアート空間:
既存は、ギャラリー、店舗、共同住宅が個別に存在していたが、本計画ではギャラリー、カフェ兼アトリエ、シェアハウスを吹抜や開口によって空間を繋ぎ、また通りに対しても大きな引き戸を設け、街に開く計画とした。街と建築が一つの「OGUMAG+」となって地域と連携することを試みた。地域住民は日常的にこの場に集い、より気軽にアートに触れる。入居者であるアーティストは吹抜を介して地域住民と交流し、作品を創り、ギャラリーでの展示を行う。アーティストと地域住民の交流によってこの場でしかできない作品が生まれ、地域にとってアートがより親しみのあるものとなることを期待している。

十字の壁とヴォイドによる空間構成:
1階は耐震補強を兼ねた十字型の壁と開口によって空間を緩やかに分節し、フレキシブルな利用を可能にしている。2階のシェアハウスでは、十字型の共用部によって入居者を繋ぎつつ分節することを試みた。十字の交差部はダイニングキッチンとし入居者同士の交流を促し、袖の部分は入居者が創作活動を行う場、サンルームには吹き抜けを設け、入居者の生活を街に開く。個室は隅に3部屋を設け採光を確保し、同時に入居者同士の生活音が気にならないよう配慮している。外皮周りは樹皮断熱材等木質系の素材で仕上げ、十字を形成する壁は木質空間に浮かび上がるよう白塗装で仕上げている。

新建築2022年8月号 掲載
商店建築2022年10月号 掲載
architecturephoto.net 掲載

東京都荒川区
施工:東協建築
写真:奥村浩司(Forward Stroke Inc. )
Atelier Asami Kazuhiro, Studio GROSSと協働